ヨナス・フィッシャー氏

© DWIH Tokyo / Dr. Jonas Fischer

2021年8月31日にFalling Walls Lab Sendai 2021(FWL Sendai 2021)が東北大学主催、DWIH東京、東北大学 知の創出センター、東北大学 研究推進・支援機構 URAセンター共催で開催されました。
今回、東北大学側のオーガナイザーであるヨナス・フィッシャー氏にお話を伺いました。フィッシャー氏は、昨年度の同イベントにおいて”Breaking the Wall of Energy-Efficient Data Storage”というタイトルの発表で準優勝を獲得しました。今年は運営側として、イベントを成功へと導かれました。普段は東北大学知の創出センターにて、プログラムコーディネーターとして活躍されています。

FWL Sendai 2021での発表と参加者に対する印象をお聞かせ下さい。

発表にはとても満足しています。参加者全員がベストを尽くしていました。多くの参加者にとって、事前コーチングがとても役立ったと思います。視聴者に関しては、合計で100名以上の方に視聴していただけました。イベント後に、彼らとのフィードバック・フォーラムを行いましたが、ネガティブな感想・意見は基本的には出ず、皆さんイベントに満足されていました。唯一批判的意見として、厳しすぎる制限時間の管理が挙げられました。

フィッシャーさんはFWL Sendai 2020の準優勝者でもありますが、準優勝したことでその後の研究やキャリアに変化はありましたか。

FWL Sendai 2020に出場する前から、自らの研究を公衆に説明するという活動は、科学者たちにとって非常に重要な仕事の一つであると確信していました。ベルリン本選出場(注: ”Falling Walls Remote 2020”というイベント名で、オンライン開催されたため日本から出場)、そしてそこでEmerging Talents Categoryにおいて、10名の入賞者の一人に選ばれたことで、その思いがより一層強くなりましたし、科学の推進を私の仕事にしたい、という希望をより強く持つようになりました。そうした思いが、東北大学知の創出センターにてFalling Wallsのような科学イベントの企画に携わる現職に繋がっています。

参加者として、そしてオーガナイザーとしてFalling Walls Labに関わるのでは、どのような違いがありますか。

参加者という立場の場合、私の焦点は自分の研究をいかに明確に分かりやすく説明できるか、というものでした。一方でオーガナイザーとしては、参加者をサポートすることに全力を注ぎました。そのためのアイデアの一つに、数週間にわたる参加者向けのコーチングを導入するというものがありました。参加者がプレゼンテーションスキルや、ステージ上でのパフォーマンススキルを習得できるコーチングです。

DWIH 東京と共催してみていかがでしたか。

DWIH東京による支援のおかげで、プロのコーチであるこはたあつこ氏を迎え、20名以上の参加者を数週間にわたって指導してもらうことができました。さらに英語を母語としない参加者を対象とした追加サポートもありました。DWIH東京とのコラボレーションはとてもスムーズに進み、ご支援いただきましたことに大変感謝しております!

今後のFWL参加希望者にメッセージをお願いいたします。

FWLのようなコンテストに参加することで、入賞者のみならず、参加者全員が大きな利益を得ることができます。自らの研究を魅力的かつ分かりやすく発表する方法を学べますし、他の参加者による素晴らしい研究から新しいアイデアを得られるかもしれません。パブリック・スピーキングの経験を積む、そして最新の研究を学ぶという意味でも本当に良い機会となります。今後参加を検討している日本人の方へ―優勝した内野さんも言われていましたが、思い切って参加してください。たくさん得るものがありますし、英語も上達しますよ。

インタビュー:本島千明(DWIH Tokyo)

ヨナス・フィッシャー

東北大学知の創出センター プログラムコーディネーター。学会や科学イベントプログラムの企画を担当する。2020年に現職に就く前は東京大学の研究者として、将来的にエネルギー効率の高いデータストレージを可能にする、いわゆる磁電型マルチフェロイックの研究に携わる。2018年アウグスブルク大学にて物理学博士号を取得。