2019年度EIG CONCERT-Japan国際共同研究公募結果

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EIG CONCERT 2019年の新規課題

2020年度から3年間実施される新規課題のうち、日独両国の研究者が関わっているのは次の4件です。

持続的水マネジメントを可能にするUV-LED水処理技術の革新的活用 (InLEDapp)

  • チームリーダー:ユッタ・エガース(ドイツガス水道技術科学協会上級管理者)
  • パートナー:
    • ルデック・ブラハ(チェコ・マサリク⼤学教授)
    • 小熊 久美子(東京大学准教授)

UV-LEDは成長著しい水処理技術です。日独の企業には今後の技術開発に積極的に関与できる力があります。この研究プロジェクトにより、国際的なレベルでUV-LEDシステムの標準化を検討することが可能となり、そこから生じる高品質なシステムは、日独に持続的な市場優位性ももたらします。さらに、さまざまな専門家グループが国際的に協力することで応用の幅が広がり、多くのグループによる活用が可能になります。本プロジェクトを通じ、日本の水処理技術研究におけるドイツの存在感の向上が期待されるほか、日本とチェコの研究者が国際的なネットワークでつながり、革新技術や他領域のインターフェースにおいて、一層の協力が進展するでしょう。

攪乱生態系の保水力を回復させる土壌エコテクノロジー (Soil Water)

  • チームリーダー:ヤン・フロウズ(チェコ科学アカデミー主任研究員)
  • パートナー:
    • ヴェルナー・ゲルヴィン(ドイツ・ブランデンブルク工科大学教授)
    • 藤井 一至(森林研究・整備機構主任研究員)
    • ピーター・スルダ(スロバキア農業大学教授)

この共同プロジェクトではヨーロッパおよび東アジアにおける土壌に注目し、その保水力や水質を持続可能な方法で改善するための革新的方法論の確立を総合目標とし、併せて国連の持続可能な開発目標6(すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する)の達成に貢献することも目指しています。中心となるのは森林土壌の保水力の活用です。ドイツのサブプロジェクト「採掘跡地の保水力」では、採掘によって攪乱を受けたブランデンブルク州ラウズィッツを例に、各地の水域を視野に入れながら土壌修復力を調査していきます。その一例である研究プラットフォーム「ヒューナーヴァッサー川」では、過去の長期蓄積データと今後の継続的な観察機会を用いて、成長中の森林が生態系の水循環にどのような効果を与えるのかを特定するための基礎を提示します。この褐炭鉱区には本プロジェクトSoilWaterに活用可能なデータが蓄積されている地点も数多くあります。

膜処理の課題を解決して都市における合理的で高効率な水管理の実現へ (Real Method)

  • チームリーダー:アンドレア・シェーファー(ドイツ・カールスルーエ工科大学教授)
  • パートナー:
    • 木村 克輝(北海道大学教授)
    • ベノイット・テシュネ(フランス・ポアチエ大学准教授)
    • イスマイル・コユンジュ(トルコ・イスタンブール工科大学教授)

水は人の生活に不可欠かつ最優先のものです。現在都市部には世界人口の半分以上が住んでおり、今後も増加が予想されると同時に、気候変動を一因とする原水の質の低下や不安定化等、従来の水処理技術では解決できない新たな課題も生じています。そこで有望視されているのが膜技術ですが、膜目詰まり(ファウリング)をはじめとする未解決の課題があります。ステロイドホルモン等の微量汚染物質に膜で対処することも難しいため、非常に密度の高い膜(ナノろ過膜・NF)や逆浸透膜(RO)を使用する必要がありますが、そのために投入する多大なエネルギーが問題となっています。膜を幅広く普及させるうえで最大の障害がこのファウリングと微量汚染物質であることから、本プロジェクトでは(1)膜の効果的な選択法の開発と(2)微量汚染物質を確実に除去する膜プロセス製造のための革新的材料およびプロセスの開発を通じた、膜技術の実用性・信頼性の向上を目指します。

スマートシティにおける水再利用のための組織的意思決定フレームワーク(SMART-WaterDomain)

  • チームリーダー:セレーナ・カウチ(ドイツ・国連大学物質フラックス・資源統合管理研究所シニア・リサーチ・アソシエート)
  • パートナー:
    • 福士 謙介(日本・国連大学サステイナビリティ高等研究所アカデミック・プログラム・オフィサー)
    • ヴィースラフ・フィアルキエヴィッツ(ポーランド・ヴロツワフ大学研究者)
    • アレッシュ・ファルダ(チェコ・グローブ研究所理事)
    • クルヴァンヴァ・タチアーナ(スロバキア科学アカデミー教授)
    • ニヨール・カズラウスキーノ(リトアニア自然研究センター研究員)

本プロジェクトの総合的な目標は、水のスマートな再利用に関する体系的フレームワークの構築です。企業や供給会社はこのフレームワークを用いて容易に排水を活用したり、そのための技術をバリューチェーンに導入するための評価を行ったりすることが可能になるほか、地域経済や社会との関係では、水の再利用に対する理解獲得戦略の一助となります。SMART-WaterDomain実現に向けた科学技術および政治面での目標には、農・工業用淡水利用の大幅な削減、再利用技術の導入・採用増を通じた資源回収の改善、水関連投資とシナジーの促進、新たなビジネスチャンスの創出や産業競争力の向上、処理水を価値ある資源としてとらえる循環経済への移行、などが挙げられます。

質問等がある方は、各プロジェクトチームに直接お問い合わせ下さい。